多汗恐怖の治療とはまさに自分をかえること
多汗恐怖の治療とは、まさに自分をかえることにほかなりません。
自分をかえるといっても、とびきり難しいことをするわけではありません。
多汗恐怖の人に共通する考えかたには特徴があります。
「過去に囚われ、未来を恐れる」
ずばり、これです。
以前体験した汗かきの嫌な場面が頭から離れません。忘れられません。がしかし、それはみかたをかえれば、頭から離れないのでなく、じつは頭から離さないのです。忘れられないのではなく、何度でも思い出すのです。
未来に対しても同じことがいえます。
過去の嫌な体験が再現するのではないかという不安が拭いきれない。しかし実際は、そういった不安を捨てずに、それどころか、胸に抱きかかえでいるのです。
そんな多汗恐怖の人が、目を向けないものがあります。
それは、汗をかいていない自分のいまの姿です。あたりまえのことですが、あらゆる過去は、もうありません。あるとしたら、自分の記憶のなかにだけある。そして未来も、まだきていません。
私たちは、「いま」「ここ」にしか生きていないのです。
もちろん過去があっていまがあるのだし、いまの自分は未来につながっていきます。
しかし、そう胸を張って言えるのは「いまの自分」と向きあっていればこそです。いま、ここに生きている自分と向きあって、その自分自身を大事にするということ、それが先はどのエンカウンターの目指すことなのです。